20161007 岩波文庫刊 野上彌生子著「迷路」上巻pp.199ー201より抜粋引用

『維新の風雲に乗じて功を成した薩摩派の顕官を父とする後嗣の宮内官は、生みの母の前身を軽蔑して、息子らしい情愛はみじんも示さなかった。 丹羽家においては、麻の葉模様がタブウであった。 着物でも、器具でも、手拭のようなものに至るまで、麻の葉模様をつけたものは厳禁された。 正夫...