アンチ・エビデンス──90年代的ストリートの終焉と柑橘系の匂い

本稿は、ストリート・カルチャーの諸々の要素が、原因や責任を問われうる証拠=エビデンスを十分残さないでたちまちに変質し霧散していくという、そうした刹那性を、今日の文化状況に抗するかたちで改めて肯定しようとするものである。2010年代の日本は、生のあらゆる面において、いわば「エビデンシャリズム」(エビデン…