種を弾き飛ばしあう菫たちのように

暗い部屋でチェット・ベイカーを聞きながら、ずっと膝を抱えていることもある。自分は感傷的な男なのだと思う。 けれど、自分の世界からそのような感傷性を差し引いても残るものは確実にあると自負しているので、少女趣味の「星菫派」ではないつもりだ。愛聴している坂本龍一も、聴く者を積極的に感傷へ誘う局面があったと…