自分を否定したとして それすら自分の声だ—後編

美容室の安楽椅子ほど悪趣味でバカげた祭壇はない。「スタイリングチェア」とかいう大袈裟なシートに座らされ、目の前には大きな鏡が見たくもない自分の顔を大袈裟に映し出している。ブースの隅にはありがちな緑の観葉植物が置かれていて、側のラックにはよく分からないファッション雑誌が無造作に重ねられている。読んで…