エッセイ散歩 虚空の人(五) - 芳野星司 はじめはgoo!

大正十一年、大泉黒石は「創作老子」を書いた。黒石の虚無主義と老子の虚無主義は重なるのだろう。今なお、この作品の評価は高い。大震災の後、黒石は、ますますダダと虚無主義に沈潜した。彼の虚無とは虚構と同義であった。そもそも「俺の自叙伝」からして、どこまでが事実で、どこまでが虚構なのか不分明である。これは…