短編小説『棚の中にあるものは……』

小さい頃に亡くなった父が僕に遺してくれたのは、映画のソフトが詰まった背が高い棚だけだった。 父は自分が死ぬということを予想もしていなかったに違いない。僕が4歳の誕生日を迎える日に走って帰っている最中に、老朽化した高架下を通っていると上からコンクリートブロックが落下し、それが運悪く頭に直撃してそのまま…