この小説は、読者を飲み込む。 『殺人鬼フジコの衝動』

パニック状態に陥った人なら、体験したことがあるだろう。自分の頭がやけに速く動いているような感覚があるのに、同じ思考がループして、考えが進まないということを。恐怖からくる焦燥、その表現の仕方があまりにも忠実であるため、本書を読んだとき、私は頭の中に鮮明なパニック状態が再現できた。 主人公のフジコは、貧…