何もかも憂鬱な夜に(中村文則)の書評・感想

本書を読んで、自分の中にある倫理観や価値観で、「この本の死刑に対する考え方は……」と論を急がないでほしい。僕は本書の価値はそこに留まらないと思うし、中村文則の小説は自分の世界観を広げてくれるところに価値があると判断しているからだ。 本書には光と影を表す人物や出来事がいくつも出てくる。光を現すのが恵子や…