二度と食べられないと考えるほど(日経新春杯予想)

ホテルに入室するやいなや彼女は瘡蓋で伝線したストッキングを脱ぎ、左上腕にきつく縛りつけた。流れるような手つきでジミーチュウの黒い革鞄から取り出した白い粉をコントレックスで溶かし、注射器に吸い上げ、か細い手首に浮かび上がった血管に針を突き刺す。そのとき、一切の躊躇いを見せないのはいつものことだった。 …