ねこの好む場所について

江國香織「デューク」の優れた意匠のひとつは、銀座にあるという小ぢんまりとした、初夏をモチーフにした古代インドの細密画を飾る画廊の話をはさんだことだろう。思春期に「デューク」を初めて読み、17歳で東京に出てきてからというもの、私は銀座の柳の陰を、路地を、ネオンの隙間を覗き込んでは、いつかはきっと目当て…