私たちは同じ空を見ているわけじゃない

「生き急いでいる、と言われたことなら何度もありますね」 そう言ってから彼女は、ちょうどいま買ったばかりのジュースを口元に近づけて、そのままぐいと大きく傾けた。結構な速さで消費されてゆく薄緑色の液体をペットボトルの容器越しに観察していると、不意に彼女の身体がくるりと回った。そうして僕は彼女の背をしばら…