『鉄橋を渡らせまいとする若い女性』

ふいのことだった。 「そこを渡るのはいけません」 後ろで小さな声がする。 小さいが、自分が言われているらしい。 義雄(よしお)は踏みおろしかけた右足を、空中で止めた。 田園地帯から、隣接する住宅地内に入るため、小川にかかる鉄橋に足を踏み入れるところだったのだ。 振り返ると、背後の畑を囲んだ溝の際に、座り…