『瞬殺猿姫(54) 波間での危機、猿姫一行』

「北畠殿に謁見するには、どういう手はずを取ればよろしいのか」 織田三郎信長(おださぶろうのぶなが)が、訊ねている。 聞いているのは、佐脇与五郎(さわきよごろう)。 与五郎は北伊勢の大名、神戸下総守利盛(かんべしもうさのかみとしもり)の配下の武士であった。 波の音が邪魔をする。 船の上で、風を頬に受けてい…