分人的な事情により

平野啓一郎『私とは何か――「個人」から「分人」へ』を読む。人はさまざまな場面で、キャラを演じ分けているが、はたして本当の自分はどれだろうか、という悩みがつねに付きまとう。そこで著者は「分人」という概念を提出する。 たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の…