【日刊 太宰治全小説】#25「めくら草紙」(『晩年』)

【冒頭】太古のすがた、そのままの蒼空(あおぞら)。みんなも、この蒼空にだまされぬがいい。これほど人間に酷薄(こくはく)なすがたがないのだ。おまえは、私に一箇の銅貨をさえ与えたことがなかった。おれは死ぬるともおまえを拝(おが)まぬ。 【結句】いま読者と別れるに当(あた)り、この十八枚の小説に於(お)いて十指にあ…