【日刊 太宰治全小説】#17「ロマネスク」仙術太郎(『晩年』)

【冒頭】むかし津軽の国、神梛木村(かなぎむら)に鍬形惣助(くわがたそうすけ)という庄屋がいた。四十九歳で、はじめて一子を得た。男の子であった。太郎と名づけた。生れるとすぐ大きいあくびをした。 【結句】ちなみに太郎の仙術の奥義は、懐手(ふところで)して柱か塀によりかかりぼんやり立ったままで、面白くない、面白…