記憶の宮殿
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【日刊 太宰治全小説】#18「ロマネスク」喧嘩次郎兵衛(『晩年』)
【冒頭】むかし東海道三島の宿に、鹿間屋逸平という男がいた。曾祖父(そうそふ)の代より酒の醸造をもって業(なりわい)としていた。酒はその醸造主のひとがらを映すものと言われている。鹿間屋の酒はあくまでも澄み、しかもなかなかに辛口であった。酒の名は、水車(みずぐるま)と呼ばれた。 【結句】 岩に囁(ささや)く 頬(…