【日刊 太宰治全小説】#3「思い出」二章(『晩年』)

【冒頭】いい成績ではなかったが、私はその春、中学校へ受験して合格をした。私は、新しい袴(はかま)と黒い沓下(くつした)とあみあげの靴をはき、いままでの毛布をよして羅紗(ラシャ)のマントを洒落者らしくボタンをかけずに前をあけたまま羽織って、その海のある小都会へ出た。 【結句】そのころから私はみよを意識しだし…