【日刊 太宰治全小説】#4「思い出」三章(『晩年』)

【冒頭】四年生になってから、私の部屋へは毎日のようにふたりの生徒が遊びに来た。私は葡萄酒(ぶどうしゅ)と鯣(するめ)をふるまった。そうして彼等に多くの出鱈目(でたらめ)を教えたのである。 【結句】私たちは、お互いの頭をよせつつ、なお鳥渡(ちょっと)の間その写真に眼をそそいだ。私は、こころの中でとっくに弟と和…