【日刊 太宰治全小説】#11「猿面冠者」(『晩年』)

【冒頭】どんな小説を読ませても、はじめの二三行をはしり読みしたばかりで、もうその小説の楽屋裏を見抜いてしまったかのように、鼻で笑って巻を閉じる傲岸不遜(ごうがんふそん)の男がいた。 【結句】男は書きかけの原稿用紙に眼を落してしばらく考えてから、題を猿面冠者とした。それはどうにもならないほどしっくり似合…