記憶の宮殿
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【日刊 太宰治全小説】#12「逆行」蝶蝶(『晩年』)
【冒頭】老人ではなかった。二十五歳を越しただけであった。けれどもやはり老人であった。 【結句】老人の、ひとのよい無学ではあるが利巧(りこう)な、若く美しい妻は、居並ぶ近親たちの手前、嫉妬(しっと)ではなく頬(ほお)をあからめ、それから匙(さじ)を握ったまま声しのばせて泣いたという。 「逆行(ぎゃっこう) 蝶蝶(…