【日刊 太宰治全小説】#10「道化の華」(『晩年』)

【冒頭】「ここを過ぎて悲しみの市(まち)」友はみな、僕からはなれ、かなしき眼もて僕を眺める。友よ、僕と語れ、僕を笑え。ああ、友はむなしく顔をそむける。友よ、僕に問え。僕はなんでも知らせよう。僕はこの手もて、園を水にしずめた。僕は悪魔の傲慢(ごうまん)さもて、われよみがえるとも園は死ね、と願ったのだ。も…