【日刊 太宰治全小説】#23「陰火」水車(『晩年』)

【冒頭】橋へさしかかった。男はここで引きかえそうと思った。女はしずかに橋を渡った。男も渡った。 【結句】水車は闇のなかでゆっくりゆっくりまわっていた。女は、くるっと男に背をむけて、また歩きだした。男は煙草(たばこ)をくゆらしながら踏みとどまった。呼びとめようとしないのだ。 「陰火(いんか) 水車(すいしゃ)…