過去に、未来に、手を伸ばす―ル・クレジオ『パワナ―くじらの失楽園』

「それが始まりだった、まったくの始まりだった、そのとき海には誰ひとりいなかったし、鳥たちは太陽の光と果てしない水平線のほかなにひとつなかった。幼いころから、わたしはそこへ、すべてが始まりすべてが終る場所へ、行きたいと夢みていた。」 (ル・クレジオ著、菅野昭正 訳『パワナ――くじらの失楽園』(集英社 1995…