時を失いながら――マルセル・プルースト『失われた時を求めて』

「プルーストを読む」ということについて、考えずにはいられない。 この大長篇小説を読んだ記憶は細断されて断片になった形で、いつか自分の人生の別の瞬間に、たとえば紅茶を飲んでいる時や(私は甘いものを好んで食べないからわからないが)マドレーヌを食べた時なんかに立ち現われるのかもしれない。今なら読めるかもし…