妹なんかじゃない 《連作短編集「デッドロックのはずれ方」2-1》

「あのな、お前には、その、妹ってのが、いるんだ」 夕飯のあと、いつもならすぐに晩酌に移るおっさんが、俺が食べ終わるのをシラフで待ってたのは、その話をするためだったらしい。 「なんだよ、それ」 「いや、お前ももう高校生だから、どこで耳に挟むかもわからんと思ってな」 俺の両親は再婚同士だから、そういう可能…