手の重さ 《連作短編集「デッドロックのはずれ方」3-1》

久実は音楽室のある四階手前の踊り場まで一気に駆け上がり、そしていきなり座り込んだ。 (なにも知らないくせに!) (だからバカで愚鈍な男子ってキライ!) (なにが久実ちゃんだっての!) 怒りと憤りの思いとともに、フルートを強弱つけて吹くために鍛えた肺活量で大きく矢継ぎ早に吐き出される吐息は、思念に色があ…