どこに愛があるというのか!― ドストエフスキー『罪と罰』2

マルメラードフのどこが悲しいと思うのか? 例えば、こういうところだ。 私があれをもらったときは、後家さんで、小さいのばかり、三人も抱えておりましたっけ。まえの主人は歩兵将校で、好きあって親の家から駈落までしたもんです。あれのほうが首ったけでしてね。ところがその主人が、カルタに手を出して、裁判沙汰にな…