古本夜話94 森下雨村と西谷退三訳『セルボーンの博物誌』

江戸川乱歩の『探偵小説四十年』の昭和六年の記述に「森下雨村の博文館退社」という一章があり、「日本に探偵小説を流行させた生みの親ともいうべき森下さんが、ジャーナリズムから退いたことは、探偵小説史に記録すべき一つの出来事であった」と書かれている。乱歩の言は森下が探偵小説雑誌『新青年』を企画し、編集長と…