古本夜話141 島木健作『生活の探求』と柳田民俗学

前回の昭和十三年刊行『土に叫ぶ』は、羽田武嗣郎の証言によれば、「たいへん当たり」、発売元の岩波書店から毎月三千円の支払いがあったという。この本の定価は一円八十銭であるので、部数は定かでないにしても、ベストセラーに類する売れ行きだったことを、この金額は告げている。それはまた農村を舞台とする、農民文学…