古本夜話181 加藤武雄と『近代思想十六講』

中村武羅夫の『文壇随筆』を取り上げるにあたって、彼と並んで大正時代の新潮社を支えた編集者であり、また同じような大衆小説家へと転じていった加藤武雄に関しても、著作などを読んでみた。幸いにして、中村と異なり、加藤の代表作である自伝的長編『悩ましき春』(新潮社、大正十年)は昭和六十三年に加藤武雄記念会に…