古本夜話211 ラディゲ、波達夫訳『肉体の悪魔』と土井逸雄

前回、昭和五年に小牧近江が波達夫のペンネームで、ラディゲの『肉体の悪魔』をアルスから翻訳刊行し、発禁となったことを既述した。これはもう少し後のアルスに関する連載でふれるつもりでいたが、叢文閣との絡みもあるので、ここで書いておくことにする。手元にあるのは昭和五年六月刊行の四六判仮綴の改訂版で、表紙に…