古本夜話555 宮島新三郎『改訂大正文学十四講』

本連載では大正時代の出版物に言及することをひとつの目的としているし、このところずっと小説だけでなく、戯曲や旅行などにもふれてきた。だがこの際だから、ここで大正文学全体の位相を考えてみたい。私の場合、主として臼井吉見の『大正文学史』(筑摩書房、昭和三十八年)や柳田泉、勝本清一郎、猪野謙二編『座談会大…