古本夜話556 厨川白村『近代文学十講』

前回の宮島新三郎と同様に、大正時代の英文学者、文芸評論家だった厨川白村も四十三歳で早逝している。それは鎌倉での関東大震災時の津波にさらわれたことによる死だった。厨川も残念なことに谷沢永一の『大正期の文芸評論』で取り上げられていないし、やはり忘れ去られてしまった文学者ともいえるかもしれない。それでも…