古本夜話662 博文館「興亜全書」、井筒俊彦『アラビア思想史』、前嶋信次『アラビア学への途』

前回、岩波文庫版の『コーラン』の訳者として、井筒俊彦の名前を挙げておいたが、本連載564などでふれてきたように、井筒もまた大東亜戦争下のイスラム研究者の一人であり、昭和十六年には『アラビア思想史』を刊行している。これは博文館の「興亜全書」の一冊である。 だが本連載でしばしば参照している『博文館五十年…