古本夜話678 室伏高信『南進論』

本連載675で、大谷光瑞の南進論にふれたが、それは昭和十一年に日本評論社から刊行された室伏高信の『南進論』から始まり、国策としての南進政策と大東亜共栄圏構想がリンクしていたと見なせよう。明治末期から大正前半にかけて唱えられた民間の南進論は、昭和に入って沈滞していたけれど、室伏の著作がきっかけとなっ…