書き下ろし短篇『遠距離恋愛と天の川』

雨模様の七夕。年に一度しか逢えない織姫と彦星の遠距離恋愛は、今夜は叶いそうにない。ずいぶん昔の話になるが、妻子のある人を好きになったことがある。大阪に家のある彼は、月に1~2度の割合で東京に出てきて、六本木の俳優座近くにマンションを借りてい