書き下ろし短篇『私のこと、愛してる?』

「お綺麗ですよ。またお待ちしております。」元気な声に見送られて、いそいそと美容院のドアを開けた。駅に向かって花柄の傘をポンと開けば、七夕の夜はもう3日も続いた雨降り。今夜のデートに向けて巻き髪にしてもらったのに、いくら傘の角度を変えても、湿