ミイラ漂流船――良栄丸の怪奇

広大な海の波間に漂っていた漁船。廃船のような船体。甲板に散らばる海鳥の羽。そして遺体。干涸らび、白骨化した者、腕や足を欠損した者。失われた腕を探せば、コンロに乗せられた石油缶の中にあった。人食い船、発見さる――各社紙面に記事が躍った。目撃者