君が装ひし貴くありけり。

その時、一人の舎人がいた。 姓は稗田、名は阿礼。 目に触れたものは即座に言葉にすることが出来、耳に触れたものは決して忘れることはない。 その目に、その耳に、この国の神々の世界を、神々の歴史を、記し留めること。 それがその舎人の使命であった。 ふることにつたう。 海神の宮殿に住まう姫君の物語。 めとめとひら…