『暗夜』残雪|夜は明けない

「夜はもう明けるの?」ぼくは兄に聞いた。 「まだわからんのか。今は……今は……ああ、やめておこう」 (「暗夜」) 「夜が明けるなんてことを考えさえしなければ、この家と折り合えるさ。夜は明けっこないのだ」(「帰り道」) 夜は明けない 残雪は鮮烈なイメージを突きつけては、読み手側を常に呆然とさせる。まったく予測…