耽美なる

大人になると分かる世界がある。大学の講義で耽美派について学んだ。耽美派と言えば、永井荷風と谷崎潤一郎。大学生になりたての頃、本屋さんで谷崎の「刺青」を立ち読みしたのを思い出した。ほんの短い作品だけど、その強烈さは今でも覚えている。刺青師の清吉は、肌に針を刺すときの人びとの悶え苦しむ姿を見る度に、言…