桃色の風

春という季節に、別段いい思い出もない。例えばクラス替えだ。人間観察をするのが好きで「誰々と誰々が仲良くて、誰々はそうでもない」と考察ばかりして、自分はその輪に入るのが苦手だった。もう出来上がっている関係のなかに入って「僕も僕も」と主張する勇気がなかったのだ。 さて、図書館で本でも読もうかと行ってみれ…