書評『人魚』染野太朗歌集

「まひる野」に所属する著者の『あの日の海』に続く五年をまとめた第二歌集。見返しの紙質やプラスチックの帯にもこだわりがみえる。 ネルボンという眠剤を処方され妻と笑いし冬もあったな盂蘭盆は父の酒量のいや増して焼酎に氷鳴りやまぬなり この歌集の大きなモチーフとして家族がある。冒頭に妻との関係を回想する歌、…