悪戯短篇小説「不向き村」

花粉症の木こりが木を伐っている。その木の枝には高所恐怖症の猿がいて、猿の目線の先に広がる海には、ビート板で泳ぐ海兵隊が大量に浮かんでいる。全員が全員、ビート板なしでは泳げないのだ。海兵隊のひとりがビート板から手を滑らせ溺れかけると、これまで誰にも聞き取れたことがないほど声の小さな、つまり教官には向…