女手一つ、乳幼児3人を連れての過酷な引揚げの記録『流れる星は生きている』

私はもうこれが夫を見る最後かと思うと、 とてもこのままさよならがいえなかった。 立ち上がって夫の耳に囁くようにいった。 「ね、生きていてね。どんなことをしても生きていてね」 私は繰り返し繰り返しいった。 電車の中で、涙を堪え、本を閉じて鼻をすすった。 昭和20年8月9日 満州で平和に暮らしていた藤原ていさんは…