東京駅の夢

ああ、またこの夢か。手のひらににじむ汗をごまかすようにぎゅっと拳をにぎる。 誰かとの別れが近づいてくると、きまって東京駅の夢を見る。たいした思い入れもない東京駅で、中央線が来るのを待っている。少し離れたところには、これから別れる相手が立っている。今回は一体誰なのだろう。とっくに見当はついているのに、…