やまさま ~朝靄に沈む村・街~ (創作短編小説)

土曜日の朝、起きると街は朝靄に沈んでいました。 桜がやっと咲きそろい、この週末の花見を楽しみにしていたのに、木曜から続く雨。そして気味が悪いくらいの生暖かさ。条件は十分整っていました。 窓を開けると、景色がモノクロに変わっていました。道をはさんだお向かいの家のシルエットが白くぼやけて見えます。朝靄は…