【磯部涼/川崎】川崎論、あるいは対岸のリアリティ

“River's Edge(川縁)”という長閑な題名を付けられたそのコミック・ブックは、しかし、以上のような不穏なモノローグで始まる。今からもう22年も前になる94年6月に単行本が発売された岡崎京子の『リバーズ・エッジ』(宝島社)は、彼女の代表作のひとつで、同作について後に劇作家・宮沢章夫は「95年を予兆している」(15…