『夜のみだらな鳥』 ホセ・ドノソ(鼓直・訳)

[El Obsceno Pájaro de la Noche] 月夜になると、恐ろしい首が小麦色の長いながい髭をなびかせながら空を飛ぶ。その顔は主人の娘の美しい顔にそっくりで……不吉な鳥チョンチョンの身の毛もよだつトゥエ、トゥエ、トゥエという声をまねて歌うのだという。魔法だ。呪術に間違いない。 大学のラテンアメリカ文学の教授は、チリ…